お宮参り小物「犬張り子」の意味/使い方/使った後はどうする?【お宮参り・豆知識】
今回は、お宮参り小物の「犬張り子」について解説します。
お宮参りをご予定で「犬張り子(いぬはりこ)」について、「買う必要があるのか」「使い方がわからない」「使った後、どうすれば良いのかわからない」という方に 役立つ情報です。
本記事は、このような方へ向けて執筆します
- お宮参り小物の「犬張り子」って必要?
- なぜ、犬張り子を使うの?(意味は?)
- どうやって使うの?(使い方/取扱方法)
- お宮参りの後は、どうするの?(処分方法)
この記事を読めば…
- 犬張り子が、どのようなものかが分かる
- 犬張り子の購入を判断し、決定できるようになる
- 購入方法から、使い方、処分方法まで、わかる
この記事は、数多くの伝統行事に関わってきたスタジオGRACEカメラマンが執筆しています
ざっくり言うと、犬張り子は、
- 赤ちゃんの身代わりになり厄災や病魔をはらってくれるもの
大切な赤ちゃんが元気に育つことを願い、3歳になるまで、そばに置きます。
では、犬張り子について、もっと詳しくご説明します。
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犬張り子とは?
犬張り子とは、犬の形、または、子犬の形をした 張り子人形のことです。
描かれている顔や模様は、制作者や地域によって、違います。
この写真では、「寿」の文字が入っていますが、牡丹(ぼたん)や松竹梅が描かれていることもあります。
張り子よは?
張り子とは、木や粘土で作った型に、水で濡らした紙などを貼り付け、糊を塗布し、乾燥させ、型を取り出し、塗料を塗り、乾燥させ、顔や模様を描き、仕上げる「造形技法」のひとつ。
中は、空洞になっているため、見た目に比べ軽いものが多いです。
ダルマ、赤べこ、ねぶた祭りの山車(だし)なども張り子の技術で作られています。
犬張り子の意味は?
犬は、お産が軽く、たくさんの子を産み、子の成長も良いことから、安産の守り神とされてきました。
また、人を厄災から守る、子後もを守ると古くから信じられてきました。
犬張り子は、子どもの身代わりになり、厄災や病魔から守ってくれるとされ、赤ちゃんが産まれたお祝いに贈られる縁起物です。
厄払いの他、犬が忠誠であることから、「正直で恩を忘れない人に育ってほしい」という願いも込められています。
犬張り子とは、
- 子どもの厄除け/身代わり
- 健やかな成長を願う気持ちのこもったもの
- 正直で恩を忘れない人になるよう願う気持ちのこもったもの
- 幼い子のおもちゃ
犬張り子は、いつからあるの?(歴史)
張り子の技術は、2世紀頃、中国で始まり、アジアやヨーロッパへ広まっていきました。
日本では、平安時代には伝わっており、宮中で「お祓い」の道具として「犬の形をした箱」が、使われました。
それが変化していき、犬張り子になったと言われています。
室町時代には、京都の上流階級の間で、祓い人形とともに、「犬筥(いぬばこ)」を産室に飾る風習があったようです。
子供が産まれると、まず犬筥に産着を着せ、それから赤ちゃんに産着を着せる「魔除けのおまじない」をしました。
お雛様の雛道具にも入っているアイテムで、「御伽犬(おとぎいぬ)」、「宿直犬(とのいいぬ)」、「狗筥・犬筐(いぬばこ)」とも呼ばれています。
いぬばこ おひなさまの守護神 雌雄一対で幸せを見守ると言われています
始めは、貴族の間で広まりましたが、江戸時代には一般庶民にも普及。
明治の末頃までは、お宮参りをし、親戚に挨拶回りをする際に、親族から「お祝いの品」としていただくものでした。
大正時代から昭和にかけては、犬張り子に「でんでん太鼓」を麻ひもでくくりつけて、贈られるようになり、
現在でも地域によっては、「でんでん太鼓・扇子・犬張り子」を麻ひもでくくり、産着にぶらさげてお宮参りする風習が残っています。
犬張り子、どこが発祥?
お宮参りに「犬張り子」を使うようになったのは、愛知県名古屋市にある「熱田神宮」(あつたじんぐう)が、発祥と言われています。
お宮参りに犬張り子は必要?不要?
お宮参りに、犬張り子は「絶対に必要」というわけでは、ありません。
犬張り子を使うか、使わないかは、地域によっても異なります。
縁起物ですので、あったほうがいいなと思えば、ご用意されると良いでしょう。
犬張り子は、
- 見た目が、とても可愛い
- 赤ちゃんのハレ着に良く似合う
- お守り、縁起物、玩具としても使える
- 写真映えする
という理由から、もし余裕があれば用意されるのをおすすめします。
犬張り子は誰が買う?
現在では、昔からのしきたりや風習も薄れており、お宮参りで、親戚やご近所へ挨拶回りすることも少なくなってきました。
まわりの方から「お祝いの品」として、犬張り子を贈ることもなくなってきています。
祖父母から贈られることはありますが、誰が買うという決りはありません。
両家の両親から贈られたときは、ありがたく使わせていただけば良いし、パパやママが赤ちゃんのために買っても良いです。
犬張り子はどこで買える?(購入方法)
犬張り子を贈りたい、犬張り子が欲しいという方へ
どのような入手方法があるか、ご紹介します。
犬張り子の入手方法は、3つ
- 安産祈願でお参りした神社で授与品として、いただく
- 楽天市場やAmazonなどの通信販売で買う
- 店舗で買う
① 授与品として犬張り子がある神社
- 鳥越神社(とりこえじんじゃ)東京都
- 妻木八幡神社(つまぎはちまんじんじゃ)岐阜県
- 玉津島神社・鹽竈神社(たまつしまじんじゃ・しおがまじんじゃ)和歌山県
- 射水神社(いみずじんじゃ)富山県
- 山名八幡宮(やまなはちまんぐう)群馬県
この他にも、安産祈願できる神社仏閣では、置いているところがあります。
※授与品とは、ご祈祷を受けた後に、いただくもの
※ご祈祷を受けずに買えるお守りや御札も「授与品」と呼ぶ
ご祈祷を受けずに、オンラインで犬張り子を変える神社もあります。
② 楽天市場、Amazonなどの通販
お宮参りの小物を全部そろえるなら、セットで買うほうがお得です。
犬張り子は、赤ちゃんの身代わりとなってくれるものです。
くれぐれも、中古品などは避けられた方がよろしいでしょう。
店舗で買う
実際にお店で見て、買いたい場合は、
- 結納品などを扱う百貨店
- 産着(宮参り着/掛け着/お祝い着/のしめ)を扱う呉服店
などで販売されていますが、犬張り子は取扱店舗が少ないため、お店に行く前に電話で確認してみましょう。
お宮参りでの犬張り子の使い方
お宮参りでの犬張り子の使い方は、地域によって違います。
私の住む関西では、産着のヒモに、犬張り子、のし扇子(末廣)、でんでん太鼓をそれぞれ、ぶら下げています。
犬張り子に、扇子とでんでん太鼓を麻ひもでくくりつけてから、産着にぶら下げるところもあります。
こちらのサイトが、写真付きで見やすいです。
ベビードレスで参拝するときは、ぶら下げるところがないので、手で持って、お参りしても良いです。
お宮参りで使った後はどうする?
お宮参りで使った後は、赤ちゃんの枕元に飾ったり、子供部屋に飾ったりしましょう。
赤ちゃんの身代わりとなり、厄災からまもってくれるものですので、赤ちゃんのそばに置いておくのが良いです。
数え年で3歳(満年齢では2歳)になるまで、子どものお守りとして置いておきます。
子どもが3歳になったらどうする?処分の方法は?
犬張り子は、子どもが3歳になったら、神社へ奉納しに行きます。
忙しくて神社へ行けなかったり、タイミングを逃してしまった場合は、いつでも良いのでご都合の良いときに行きましょう。
お正月、初詣へ行くなら、いっしょに持って行くのも良いですね。
子供の身代わりになって厄を祓ってくれたものですから、間違ってもゴミ箱へポイ!なんてことは、ありませんように…。
補足 基本的なこと・お宮参り小物とは?
ご存じの方も多いかとは思いますが、お宮参り初めての方へ
お宮参り小物の種類
- 帽子
- よだれかけ
- お守り袋
- のし扇子
- でんでん太鼓
- 犬張り子
- 紐銭
お宮参りのキホン
◆ お宮参りとは
- 昔からある日本の伝統行事
- 一般的に、男の子は生後31日目、女の子は生後33日目に行う
- 産土神/氏神様を まつる神社へ参拝、ご祈祷する
◆ お宮参りの目的
- 赤ちゃんの誕生を神様に報告
- 無事に出産できたことを神様に感謝
- 赤ちゃんのこれからの健やかな成長を祈る
お宮参りでの参拝、ご祈祷のときは
- 赤ちゃんを抱くのは、父方の祖母(パパのお母さん)
赤ちゃんの服装は
- 肌着+白羽二重の内着+産着(お祝い着)+帽子&よだれかけ
が、正式(正装)。
近年では、白羽二重の内着の代わりに、ベビードレス、ロンパース、ツーウェイオールを着せるのが人気。
お宮参りのときに、産着につけるための縁起物が「お宮参り小物」です。
赤ちゃんの幸せを願うために付ける小物たちは、より一層、ハレ着の華やかさを引き立てます。
お宮参りは、地域により、風習や 習わしが 異なるため、お宮参りに行く時期や 決まり事、小物の種類なども、地域によって異なります。
※お宮参りは、宮参り、初宮参り、初宮詣などいろいろな言い方があります
※神社ではなく、お寺へ行く場合は、お初参り、初参りなどと言い方が異なります
※産着(うぶぎ)は、初着(うぶぎ)、掛け着、お祝い着、宮参り着、熨斗目(のしめ)など、呼び方がいろいろあります。
まとめ
犬張り子は…
- 安産祈願や子供の成長のための縁起物のひとつ
- 赤ちゃんが3歳になるまで、身代わりとなり、厄をはらってくれると言われている
- お宮参りでは、一緒にお参りに持って行く
- 数え年で3歳になったら、神社へ奉納しに行く
意味を知ると、とても有り難い存在の犬張り子。
可愛いわが子のためにも、大切に扱いましょう。